男と女
この家に住み出して16年ちょい。
引っ越しの際、使えるものは前の家から持ち込んだが、電気製品はエアコン1台とテレビ1台、ダイニングの灯りくらい。あとは新しいものに買い替えた。
トイレも真っ新のウォシュレットがちゃんと付いていた。
のに、相方は実家の工場の横にあったお義兄さんちの新しいウォシュレットの蓋が、人の気配で勝手に開くのに甚く感じ入り、引っ越して10年たったある日、まだ使えるのに新型のウォシュレットに付け替えた。
人が来るたびにトイレ自慢。「このトイレ、ドア開けて前に立つだけで勝手に蓋、開きますから触らんとって下さい」
何がそんなにいいのか、嬉しいのか、わたしには分からなかった。
それが今日の昼前から、便座が冷たくて設定温度上げても温かくならなくなった。
相方は例によって自分で何とかしようと必死にがんばった。
でも、温かくならない。
わたしは修理受付センターに電話するよって言ったんだけど、彼はもう一度説明書を読み直すと言う。わたしは忘れちゃってたけど、前回、故障したときは緑の小さなランプが黄色くなった、今回は緑のままだから故障じゃないと彼は言う。
それから、またウォシュレットのリモコン取り外して説明書と首っ引きだった。そして、10分ほど後、「便座、ぬくくなった」と言う。
ほんとだ、あったかくなってた。
すごーい。
それにしても、何故そんなに、このウォシュレットがいいの と訊くと「手で便座、持ち上げんでも、リモコン押すだけでいいから」って。
なるほど、そっちか。
男と女は違うのだ。