あかんたれ

わたしは「悪意」に弱い。

 

こちらは何も悪いことなどした覚えもないし、むしろ相手の人をすごい人だと尊敬しているくらいなのに、突然、ピシャっと拒否される。それもヒステリックに。

 

以前もあったのだ。少し年上の女性でたいそうわたしを気に入ってくれて、一緒に飲みに行ったり、旅行したり、誕生パーティーなどをしたりと、家族ぐるみで仲良くしていたのに、ある日、突然「まりさんばっかり幸せでずるい」と言って、それからは挨拶もしてくれなくなった。仲間と一緒にいても、完全に無視する。

わたしは彼女に何もしていないし、そのころは子供のことや実家のことで悩んでいたのに、どこがそんなに幸せに見えたのか。何が彼女の気に障ったのかいまだに分からない。

相方は「嫉妬」だろうと言う。わたしが人と仲良くしてその輪を広げていくのが、妬ましいのではないかと。

 

その人とは今は完全に関係を断っている。

腹が立つと言うより、気の毒に思っている。

才能のある人なので仕事関係の人たちとは上手くいっているように見えた。でも、人に対してあのような接し方をしていれば、次第に彼女の周りから人が去っていくんじゃないかしら。

 

 

昨日の人もそうだ。才能のある人なのに、以前、わたしの何でもないミスに敵意をむき出しにしたことがあった。それから、わたしは彼女には気を使って話していたつもりだ。

今回はあちらのミスなんだよ。だけど、わたしは腰を低くして訂正をお願いした。

でも、きつい言葉で反論されて、わたしは静かに「じゃあ、もう結構です」って言ったんだ。

そしたら、ちょっと待ってと言って、最後にはなんとかできるだけの訂正をすると言ってくれた。

で、彼女は最後に「すんませんね」と語気強く言って、電話はぷつりと切れた。

 

わたし、彼女に何も悪いことした覚えない。

彼女からよく言われるのは「まりさんは可愛がられていいね」。

何をどう見て、どう聞いて、そう思い込んでいるのか、さっぱりわからない。

 

わたしは言い返したり喧嘩したりするのが嫌いなのだ。

だったら、こっちから頭を下げた方がいい。

そのほうが簡単だし、それで治まるくらいならと考える。

 

相方に遅くまで付き合ってもらって、飲みながら気楽な昔話などした。

少し気が晴れた。

 

わたしはあかんたれなのだ。