電話
まただ。
また東北に大きな地震。
昨晩11時8分、わたしは風呂上がりで相方とハイボールを作っていた頃だったと思う。
それから、2人でテレビの録画を見ていた。
終わって、普通のテレビのチャンネルに戻った途端に、地震の場面が出た。
12時前になってた。
大阪市、少なくともうちでは、全く感じなかった。
わたしは地震には敏感な方だが、それでも感じなかった。
何だか悪いことをしたような、後ろめたさがあった。
10年前の東日本大震災の後、次はきっと関西だ、大阪は古いしもたやが多い、簡単に毀れるだろう。川や運河が多いから、津波が来たらわたしの住んでいる地域は濁った水の下だ。
ずっとそう思ってきた。
東北の方々は復興半ばで、また恐ろしい目に合っちゃった。
岩手に友達がいる。
10年前、彼女のことが心配だった。
携帯を持っていたから、彼女がどこにいても連絡は取れるはずだ。
電話しかけた。
でも、手を止めた。
被害者が本当に必要なことを伝えたくても繋がらない状態の所へ、身内でもないわたしが電話をかけて、余計に繋がりにくくしてはいけない。
そう思って、1週間経ってから電話した。
「あー、まりちゃん。うん、何とか大丈夫だったよ」
がんばっていつも通りの明るい声で言った。
やはり、最初の何日かは呆然自失で、何が何だか分からなかったって。
彼女の家も実家も大きな古いお家だったから、わたしも心配だったけど、何とか両方とも持ちこたえてくれたって。
今回もまだ、彼女に電話してない。
子供たちも独立してよそに住み、ご主人を亡くしたので、今は実家でお母さんの介護をしている。
大丈夫、彼女なら大丈夫。
でも今回は1週間も待てないけど。