夏井いつき

昨日、ホイットニー・ヒューストンのCDと、田辺聖子の「花衣ぬぐやまつわる・・・わが愛の杉田久女」の本、探しにブックオフへ行った。

1階のCDのコーナーに「ホ」の字も「ヒ」の字もなかった。

2階の本のコーナーに田辺聖子はいろいろあったが、この本は見当たらない。

お店の人に頼んで探してもらうが、「ありませでした。すみません」「いや、こちらこそお手間を取らせまして」と頭を下げ合った。

 

せっかく来たのだからと時代小説のコーナーを見た。

わたしは宮部みゆきの時代小説が大好きなのだ。

この人は江戸時代に生きていたことがあって、生まれ変わってもまだ、その記憶がしっかり頭に残っているんじゃないか と思うほどリアルな描写で、サンマの焼ける匂いから足の下のどぶ板の感触まで伝わってくる。

登場人物も、実際に彼女が会ったことがある人みたいに生き生きと描かれている。

でも、ほとんど読んじゃってるから、新しいのはあるかな と探したら「お文の影」という見たことのないタイトルを見つけた。これを買って帰り、家でじっくり見てみると「ばんば憑き」と言う単行本の改題したものだと書いてあった。まだ読んでないが嫌な予感がする。

 

もう1冊、これはたまたま目にしたもので、夏井いつきの「世界一わかりやすい俳句の授業」を迷った末、買った。

なぜ迷ったかというと、彼女のざっくばらんすぎる物言いが好きになれないからだ。

プレバトが始まった時、わたしはまだ俳句をしていなかった。

俳句を始めると「プレバト見て俳句を始めたの?」と一体、何人の人に言われたことか。わたしは彼女が好きでないから見ていないのに、彼女のお陰で俳句を始めたように思われる。忸怩たる思いだった。

しかし、今は俳句の勉強のためにプレバトを見ている。

彼女の指摘はまさに的を得ている。でも、もう少し違う言い方をしてくれたら と思うのはわたしだけかしら。確かにああいうはっきりした所が彼女を支持する人たちには好まれるのだろうけれど。

ま、そんな訳で迷いつつも買って、晩ご飯の後、ものの1時間ほどで読み終えた。

だって、挿絵やまとめのページが多くて、読むべきところは少しなんだもん。

 

結果、目からウロコだった。

 

彼女は初心者は、まず「取り合わせの句」から始めなさい。それも「尻から俳句」、つまりまず下5になる5音の言葉を探し、それを描写する7音を決めて中7に持ってくる。それからその上に5音の適当な季語を付ける。これで取り合わせの句が1句でき上るって寸法。

何、これ?

おまけに「一物仕立て」の句は、季語という「一物」をよほど五感、第六感を研ぎ澄ませて観察して詠まないとと、手あかのついた類句になってしまうから、初心者向けではない と言い切ってる。

 

うちの結社では一物仕立てを良しとして、取り合わせの句は歓迎されない。「取り合わせなんてわたしは認めない」とおっしゃる先輩もいらっしゃる。

わたしは2年ほど前、一物仕立てに行き詰まり、先生にお願いして取り合わせの句を指導していただき、ようやく今、取り合わせが分かってきたかなってとこなのに。

 

夏井いつき、恐るべし。