旅館

昨夜9時ごろ、寝室のドアをノックした。

ドアを開け一礼し「失礼いたします」と言った。

相方はベッドで野球を見ていた。

「御用はございませんでしょうか」

「は?」

相方は目をぱちくりさせた。

「暖房は必要ございませんか?」

「はい、大丈夫です」

「お水はございますか」

「あ、はい」

「それではこれで失礼致しますので、御用がございましたら、フロントまでお電話いただけますでしょうか」

「はい、分りました」

「では、お休みなさいませ」

また、お辞儀した。

 

「なんや、これ?」

「旅館ごっこ

 

昨日の夕方、ご飯の支度前に、相方はお風呂を洗ってお湯を張った。

「今日はずいぶん早いね」

「旅館に行った時みたいに、食事の前に風呂へ入りたいんや」

ふーん、そうなんだ。

 

という訳。