口元

昨日、結局、スーパーへ行かなかった。

夕食を作るのが面倒になって、5時半ごろ、傘さして、相方といつもの焼き鳥屋さんへ行った。

 

お客さんは2人がカウンター、4人がテーブルの席にいた。

店員は男性1人、女性1人がけっこう、忙し気に立ち働いていた。

まずは生中、1杯ずつ、それからすぐ来る枝豆と鶏のもつ揚げ頼んだ。

ここの枝豆、大きくってしっかりしてて美味しい。

食べながら次に焼いてもらうの、何にするか相談し、間合いを取りながら注文した。

せっかくの熱々の焼き鳥がさめちゃうの、いやだもん。

 

で、何度目かの注文しようとしたら、店員が3人になってた。

女の子がいつの間にか1人増え、その子が注文した品を持って来てくれて、「お久しぶりです」って言った。

例の相方のお気にの、のぞみちゃんだった。

 

わたしが「ほんと、久しぶりねえ。元気だった?」と言うと

「はい、でもお客さんが少なくて、シフトになかなか入れなくて。今日はお会いできてよかった」って。

相方はニコニコで、見えない尻尾、ちぎれるほど振ってた。

「わたし、もうすぐ卒業なんです」

「受験?」

「いえ、ここに就職します。したいことがあるので、お金を貯めたいんです」

そうか、しっかりした子だな。

わたしなんか18の時、自分の人生について、この子みたいに考えてなかった。

周りがみんな大学受験するから、深く考えもせずに受験した。

 

相方は大喜びで「これからもここに飲みに来るからがんばりや」って。

 

それから、お客さんが増え、忙しくなった。

 

わたしたちは締めにいつもの鶏飯の焼きおにぎりを食べた。

のぞみちゃんが会計して見送ってくれた。

 

彼女はすぐにわたしたちに気付いたが、わたしたちは彼女が声を掛けてくれるまで気付かなかった。

もう1人の女の子も長い髪を後ろで1つにくくっていて、同じくらいの背丈で、同じお店の制服着てる。

そして、白いマスク。

 

知っている人でも道で会った時、マスクをかけてると誰だか分らないことがある。

鼻から口元って人の印象に大きく関係するようだ。

 

そう言や、サングラスの方が、目元がはっきり見えなくても誰か分りやすい。

 

目は口ほどにものを言うっていうけど、口元もやっぱり、ものを言うんだ。