飴玉を転がす

黒田杏子の句集「木の椅子」、まだ64ページだ。

1ページに大体3句、180句に10日かかってる。

普通の句集なら1,2時間で読んでしまうのに。

 

1句読むたびにまず「?」が浮かび、読み直す。

漢字の読みも意味も分からない時は、電子辞書の漢字辞典の「単漢字を大きな手書き入力から探す」機能を使う。「月泛べし」の「泛」。多分、「うかべし」だろうとは思ったが念のため。

襤褸」は「らんる」とルビが打ってあったから、広辞苑で意味を調べた。「ぼろきれ」だそうだ。

「粗朶負女」も難しい。

「粗朶(そだ)」は切り取った樹の枝らしいから、粗朶を背負った女の人なんだろう。

このように文字の意味を調べるだけでも、けっこう時間がかかる。

それからもう一度、句を読み通し、気になる字句に鉛筆で線を引く。

彼女の句には映像やストーリーを想起させるものが多い。

1句1句、違う世界へわたしを連れていく。

そして次のページへ と行く前に、前のページへ戻ってまた読み直すのだ。

 

Ⅰ、Ⅱ、Ⅲに分かれているこの本のⅠが句集「木の椅子」と古舘曹人という方の「跋」黒田杏子論だ。Ⅱ、Ⅲはこの句集が取った「現代俳句女流賞、選評」やいろんな人の杏子論など。

正味の句集は118ページしかない。

あと54ページ。

ゆっくり楽しむ。

 

好きな飴玉を口の中で転がすように。