にこにこ
ひと月程前に相方に質問した。
「わたしが毎日、出かけない日もお化粧するのは誰のためだと思う?」
「俺やろ」
「違うんよ。わたしもそう思ってたんだけど、どうも自分のためみたい。自分自身の背筋を伸ばして、わたしは大丈夫と自分に言い聞かせるためみたい」
「ふーん」
昨日、調子悪くて、お化粧もせず1日寝転がってテレビの録画ばかり見てた。
それで夜になって、ふと気付いたんだ。
意外と鏡、見ないな。
自分の顔、見ないとお化粧してないこと、忘れてる。
でも、体調の悪い暗い表情のわたしの顔を相方はずっと見てたわけだ。
途端に彼のためにお化粧しなくちゃ と思った。
今日は彼が監督してるチームの練習の日。
朝早くから出かけて行った。
わたしは昨夜はぐっすり眠り、朝からお化粧をして、家事を始めた。
彼は今日のお昼はみんなで「ザめしや」へ行って2時ごろ帰って来た。
シャワー浴びて、ビール1缶開けて、ベッドにひっくり返ってる。
彼に「わたし、どお?」と顔を突き出して訊いた。
「元気そうや」
「それだけ?」
「お化粧?」
「うん。どお?」
「いい。お化粧、して下さい」
また、何かヘンなのが憑依したみたいだけど。
にこにこしてるから、ま、いいか。
わたしもにこにこした。