命がけ

この四半世紀の永きに渡って、月に一度、Joeのクラスに行っている。

トピックを決めて、次の月にそれに沿った話を2~5分、英語でするサークルだ。

Joeはよほどのことがない限り最後まで聞いて、後で文法や表現を訂正したり、そこから思い浮かぶ美しい表現方法を教えてくれる。

90才に近い齢で、あの若々しく詩的な感覚。恐れ入る。

 

今年は1月と2月だけあったが、以降は中止だった。もちろん、コロナのせいだ。

 

先月10月から再開された。

しかし、その日、わたしは体調が思わしくなかったのでお休みした。

そして、今月は明後日、15日に予定されていた。

 

わたしは一昨日の夜、今年の世話人のSさんに電話した。

「今度の日曜のJoeのクラス、中止にした方がいいんじゃないでしょうか」

「でも、Joeはするつもりでいてるし、学校側が開いてるのに休めないと考えてるみたい。まりさん、一度、Joeに電話してみて」

で、昨日、何度も掛けたけどつながらなかった。

 

今朝、掛けて伝言を残しておいた。

すぐ、Joe から電話があった。

「ハイ、まり。元気ですか」明るく元気な声だった。

「ハイ、Joe。今度の日曜のクラスのことなんですが」

彼はみんなのことを思って無理してる とわたしは考え、

「Joeが京都から2時間近くも掛けて大阪の教室へ来てくださってるのはありがたいけれど、電車の中が長くて心配です。それにJoeが来るならみんな会いたくて来るでしょう。わたしはJoeも心配だけど、80才前後の高齢なメンバーも心配なんです。うちのサークルがクラスターになる可能性だってあります。まず、今度の日曜は中止にして、先は先で考えるってことにしませんか」と言った。

 

Joe はしばらく考えて「実は先月、行く前に妻はやめてほしいと言った。でも、みんなが待ってくれてるからと行ったんだ。みんなマスクはしていたが、授業の後、ソーシャルディスタンス、取っていなかった。話をするとき近すぎて怖かった。意識が低いように思えた。ある意味、命がけの授業だね。まあ、ちょっと考えてみるよ、まり」

 

お昼前に世話人のSさんから電話があった。SさんにJoeから電話があり、今度の日曜は中止にしたいと言ってきた、Joeはどんな感じで話してたか と聞かれた。

Joeは「命がけ」という言葉を使ってたと言うと、彼女は「それで決まりだね」と言った。

 

今ごろ、メンバーのみんなに中止のお知らせが届いているだろう。