「展覧会の絵」と「博物館の魚」

先日、夜にテレビのチャンネルを変えると、クラシックの奏者たちが数人で演奏しているのをたまたま見つけた。

 

6月ごろに同じNHKのBSで「外出自粛の夜に オーケストラ・孤独のアンサンブル」という、いろいろなオーケストラのメンバーが、それぞれの家でコロナ禍の話をして、自分の楽器でソロ演奏をするのを見た。それからパソコンを駆使して何十人もの奏者の個別の演奏を1つのオーケストラの演奏のようにまとめたのも聴いた。

今回のはどこかのホールへ何人かの奏者が集まり、1人1人離れて、大きな円になって演奏していた。調べたら「オーケストラ・明日へのアンサンブル 孤独の奏者たち奇跡の共演!」という番組だった。

わたしが聞いたのは最後の3、4曲だけだった。それらの中にムソルグスキーの「展覧会の絵」の10曲目の「キエフの大門」があった。

 

元々、この曲はピアノ曲でわたしの大好きな曲の1つだ。

しかし、わたしの手は小さい。おまけにバレーボールで右手小指にヒビが入っったせいで、くの字に折れ曲がっている。結果、1オクターブがぎりぎりで、間に和音が入るとそれさえとどかなくなる。

展覧会の絵」はオクターブ満載、和音満載で、わたしに弾くのは無理なんだけど、だましだまし弾いて遊んでいる。

このピアノ曲をラベルなんかがオケ用に編曲しているんだ。

1曲目の「プロムナード」はテレビの美術関係の番組でいつも使われてるから、みなさん、きっと聞き覚えがあるはず。

 

オケ用の「展覧会の絵」は本来はフルオーケストラで演奏される。

非常に重厚でメリハリのきいた、それでいて茶目っ気のある曲だ。

それをたった13人の小さな編成で演奏なさった。

 

博物館で、ホルマリン漬けにされて保存されている、小ぶりなさかなの骨を見たことある。真っ白で、きっちりさかなの形をしていた。ほかのパーツがない分、形がくっきりして、清らかで美しかった。

 

今回の「展覧会の絵」はその「博物館の魚」みたいだった。