さよならとバリ

特別お題キャンペーンの「ドライブと音楽」について、思い出す事が2つある。

 

1つは相方と付き合っていた40年ほど前のこと。

彼の車にオフコースの「さよなら」のカセットを入れて聞いていた。わたしにとって、子供のいる彼とのお付き合いは、いつも「さよなら」と背中合わせだった。今でもあの曲を聞くと、不安だらけだが、だからこそ甘美だった当時の気持ちを思い出す。

あの頃は相方でさえロマンチックに見えた。要するに自分自身が恋に酔っていたんだと今なら分かるが、その恋がエネルギーとなって突っ走ることが出来たのだ。冷静な恋愛関係なんてある?そんなの逆に、何だか怖い。

「さよなら」を車の中で聞いて涙ぐんでいた自分が愛おしい。

 

もう1つは11年前に買って、碌に聴きもせずに引き出しにしまい込んでいたやつ。

去年、ひょいと出してうちの車に入れて、かけてみた。鳥の鳴き声が遠くで聞こえ、穏やかな木琴の音で始まる。バリ島へ行った時に買った楽器だけのCDだ。バリは他の東南アジアの国々と同じく、観光用でない所は貧しく非衛生的で見ていて辛い。でも、ホテルの中はパラダイスなんだ。朝、木立の中から、きれいな鳥の声が聞こえる。朝食をとりに壁のない、木でできた広いレストランへ行くと、民族衣装を着た男の人が2人、木琴と知らない楽器を演奏していた。実にゆったりとしてバリの朝に似つかわしく、毎朝、楽しみだった。

渋滞の高速でこのCDをかけると、イラついた気持ちがスーッと引いてゆき、バリのホテルの人たちの笑顔が浮かぶ。みんな、いい顔してたなあ。

 

音楽って広い演奏会場で聞くのもいいけど、狭ーい走る密室にもよく合うね。

 

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by ホンダアクセス