気晴らし
今日も雨。
梅雨だもの、仕方ない。植物たちにはきっと恵みなんだろう。
洗濯も乾かない。買い物へ行かなきゃなんないけど、出たくない。
ベッドでテレビ見てる相方のところに行って「ねえ、わたしのこと好き?」と訊く。
テレビから目も離さずに「うん」と言う。
「好きって言って」
「好き」
まだ、テレビ見てる。
「あなたってつき合ってる時から、ロマンティックなことは全然、言わなかったね」
ようやく、こっちを向く。「そうかな」
「君が好きだとか、愛してるなんて、言われたことない」
「・・・・・」
「言ったら何か損する?男の沽券に係わる?」
「・・・・・」
「あ、一回だけ。デートの後、車で送ってくれた時、このままうちに連れて帰りたいって言ってくれた」
見る見る、真っ赤になる。
「覚えてる?」
「うん」
40年前のことだ。
赤い顔の彼を寝室に残して、パソコンに向かってる。
ふふふ。
ちょっと気が晴れた。