百合の蕾
相方の眉間のシワが深くなった。
元々の悪役顔が余計に険しくなった。
ソフトボールができなくて身体を動かせないので、ストレスがたまっているのだろう。
まあ、わかるけど、毎日その顔を見てるわたしの身にもなってほしい。
「どうかした?」ときくと「何にもないって言うてるやろ!」と怒鳴る。
2人暮らしは楽しい。一人ぼっちにはなりたくない。
でも、こういう時、わたし以外に当たる人がないのがしんどい。
わたしがコロナへの恐怖からみぞおちの辺りがぎゅーっとなったり、胃の調子を崩したりした時、彼はやさしかった。でも、わたしがこの状況に少し慣れて、落ち着いてきたら、今度は彼の精神状態がちょっとヘンになった。
だったら、わたしが彼にやさしくしないと。
今日の午後はちょっと遠くまで散歩に行く。
誘ったら「行く!」と言った。
ピンクの百合にはもともと花が2つと蕾が3つ、ついていた。
花はもう、開ききっている。でも、蕾が少しずつ膨らんできている。
一番大きい蕾から(だと思う)香りがもれてきている。
明日の朝くらいには咲くんじゃないかな。