すみれの墓
お墓参りに行ってきた。車で。
まず、相方の両親のお墓にお参りをした。
それからまた車に乗り20分ばかり。奈良県と大阪府の間にまたがる山の中腹にある墓地。ここに1才で亡くなった女の子が1人で眠っている。
相方と前の妻の間にできた次女だ。ここへ来ると無口な相方がもっと無口になる。
お花とお菓子を供えて、長い間黙って手を合わせる。
30代の彼はここでよく涙を流した。年が上がるにつれ泣かなくなった。
たぶん彼女と会える日が近づいて来ているからだろう。
いつも通り、彼がバケツに水を汲んでいる間に、わたしは一足早く、お供えを持ってお墓へ向かった。遠目にも何だかいつもと違う感じがした。
前まで行って、やっと分かった。小さなすみれが墓石を取り囲んで咲いていたのだ。
そう言えば昨年の春にもすみれは咲いていたが、少しだけだった。
この春は、敷地一面、すみれ、すみれ、すみれ。
相方と相談して、他の草だけ抜いて、すみれは残した。
彼女は生きていれば40才を越えている。
でも、1才で亡くなり、すみれに囲まれ、このお墓で父を待っているんだろうか。
お願い。もう少し待ってて下さい。
わたしはいつも、そう願ってしまう。
ごめんなさい。