エンジェル

父が亡くなった次の年、母の付き添いでイタリアへ行った。

目的はクレモナのストラディバリウス詣でだったんだけど、最後にベニスに行った。

それまでにミラノで宗教画に食傷してしまったわたしの提案で、ベニスのグッゲンハイム美術館を訪ねた。ニューヨークのグッゲンハイム美術館とは趣の違うところだったが、選りすぐりの現代美術が並んでいるのは同じ。そこの庭でマリーノ マリーニという彫刻家の「The Angel Of The City」というブロンズの作品に出会った。裸んぼの少年が両手両足を広げ、何かの動物(馬だというんだけど、イノシシみたいに見える)にまたがって顔は天を仰いでいる。正面から見ると正に「大」の字。パワフルで野放図。絵葉書を買った。今も時々、眺めてる。

 

わたしには4人、孫がいる。みーんな男の子だ。1番目の孫が生まれたのが14年前の今日。長女が里帰りして大阪で産んだ。彼はもう少ししたら中3。この子とも残念ながら血がつながっていないんだけど、見た目もいいし、勉強もスポーツもできる。おまけにいい子なんだ。自慢の孫だ。

先日、彼にバースデーカードとお金を少し、送った。カードには次のように書いた。

「14才のお誕生日、おめでとう!とうとう中3になりますね。

まずは元気でいること。

そして、これからの自分の人生を考えはじめてもいいころだと思います。

あなたにはいろんな可能性があります。

自分自身をよーく見て、よーく考えてください。

楽しみに見守っています」

 

絵葉書を見ると、孫たちの顔が浮かぶ。

みんなわたしにはエンジェルだ。

相方に似て、ごんたくればかりだけど。