わたしの知識

昨日、とある句会の兼題が「早春」だったので、歳時記で早春の本意や例句を読んで、何度目かの挑戦をしていた。

ひょろりと出てきたのが「コロラチュラ」、つまりコロラトゥーラ・ソプラノのこと。

この言葉と鳥の鳴き声とを組み合わせて、早春の句を作った。

でも、なんだか気になって、いつものようにHさんに電話して句を聞いてもらった。

彼女はコロラチュラという言葉はあまり知らないとおっしゃった。

誤解されないよう言っておくが、彼女はわたしの俳句の相談役で、俳句のことも季語のこともものすごーく詳しい。

一方、わたしは英文科出で、合唱をしていたし、ピアノもそこそこ弾けたので、そっち方面の知識はあるが、それはあまり俳句と馴染まない。

そう思ったから彼女に相談したのだ。

彼女が知らない音楽関係の言葉を、彼女より年嵩の方々が理解して下さることはあまり望めない。だからこの句を句会に出すのはやめた。

 

つくづく思う。わたしが今まで興味を持ってきた西洋の文化、特に音楽、美術の知識は俳句には役にたたない。むしろじゃまなことが多い。

でもわたしは、出来るだけわたしの知っていることも詠みたい。

和風と洋風、両方の中で育ち、くらしてきた。

わたしという人間には両方の世界が普通に存在している。

だから、できる範囲で洋風の言葉も俳句で使ってゆきたいと思う。