禁煙

今週のお題は「二十歳」だそうだ。

成人式は行く気なかった。中学から私立なので、小学校の時の友達はほとんどいなかったし、そもそも市民会館での式なんていかにもつまらなさそうだったから。

でも唯一小学校の友達で、我が家の一番近くに住んでたひろ子ちゃんが、一緒に行こうと電話してきた。今思えば、私立に行って近所に友達のいないわたしを気遣ってのことだったかもしれない。

ひろ子ちゃんチをピンポーンすると、髪をアップにし、振袖を着たひろ子ちゃんが現れた。いつものおとなしい彼女の中にある、すごいものが表に出ていて、わたしは圧倒された。

わたしは黒のパンタロン(て当時、言ってたんだよ)に茶色と黒の大きなチェックのオーバーコート、それに黒のベロアの大きな帽子を被っていた。

文字通り、わたしはひろ子ちゃんの御付き係で、成人式に行った。

予想通り、つまんない式で、ボールペンと市民会館の結婚式のパンフレットを貰って帰った。

わたしには何の意味もなかったが、ある人たちには大きな区切りなのかも知れない。

わたしは式から帰ると、母に「禁煙しなさい」と言われた。

あれから何回、何十回、禁煙したことだろう。

二十歳なんて生きていられれば、いつかなるが、禁煙、こいつは一筋縄ではゆかない。