近道

先輩のHさんは5つ、6つ年上のきれいな方で、俳句がお上手なだけでなく、俳句に関する知識が半端じゃない。でも体調があまりよくないそうで、わたしのホームグラウンドのクラスに月2回出ていらっしゃるだけで、他には句会も吟行も行かれていない。新聞や雑誌に投句なさっている。

わたしはホームで発表する句以外で判断に困ると彼女に電話する。いつもご主人が出られるので恐縮してしまう。彼女は「気にしなくていいのよ。主人の座ってる場所が電話に近いだけなの」なーんておっしゃるので、持ち歩きできる子機の充電が切れるまで質問してしまう。

昨日も半時間位、話していた。とある句会で「涼し」が兼題として出ていたが、わたしの考えている「涼しさ」がどうも本意からズレている気がした。案の定、日本列島の句もシューベルト蒙古斑も全て、「ちょっと違うな」と言われた。サイコロキャラメルだけは何とかなりそうだったが、電話がピーピー言い出したので慌てて「後は自分で何とかがんばりまーす」と切った。

彼女の言葉をヒントになんとか一句、出来た。

ところがその後、つるりとまた違う「涼し」の句が出来た。多分、こっちの方を発表するんじゃないかな。

 

動植物や形があって目に見えるものも難しいが、目に見えないものはもっと難しい。

本意が掴みにくくて、わたしのイメージが全く間違った方向を向いていることが多々あるのだ。

有名な方の句や先輩方の句を読んで本意の感覚を身に付けるしかない。

 

あーあ、やっぱり近道はないのだ。