耳の記憶

わたしは耳がいいということは前に書いたと思う。単に聴力がいいだけではなく、たぶん音感がいいのだと思う。自慢するつもりなどこれっぽっちもない。世の中にわたし程度の耳の持ち主はごまんといる。それに絶対音階はない。しかし若いころ合唱をしていたので相対音階がある。テレビから聞こえてくる歌とバックの演奏の音がずれていると気持ちが悪い。フラットさん、つまり少し低めの人はまだ聞きやすい。地球の重力が関係しているのだろう。それよりシャープさんの方がお尻がもぞもぞする。はやく歌が終わってほしいと思う。

昨夜、録画していたスターウォーズの「フォースの覚醒」を見ていた。4年前の作品だ。42年前の一作目からジョン・ウィリアムズの音楽は素晴らしく、作品の一翼を担っていた。彼は登場人物やシーンに応じてテーマミュージックを作曲していた。昨夜、前のシーンにかぶって懐かしい曲が聞こえた。ミレニアム ファルコンというおんぼろ宇宙船が映る前にわたしにはファルコン号が見えた。

耳の記憶は面白い。音が目で見たものを思い出させる。犬の鳴き声でその犬の大きさや姿まで推測でき、飼っていた愛犬の思い出までたどり着ける。

鼻の記憶も面白い。とある男性用コロンの香りで昔の彼を思い出すことがあった。しかし、残念ながら弱い。香り自体がほのかで、記憶できる期間も短い。

その点、耳の記憶は耳が聞こえていて脳が働いてくれている間は大丈夫だと思える。

あなたにはどんな耳の記憶がありますか?