流行りもの

ひと月ほど前に6センチヒールのサンダルを買った。履けるうちにヒールを楽しんでおこうと思ったからだ。

甲の部分が広い履きやすい形ときれいなグリーンが気に入って買う事に決めた。

ところが店員が会計をしながら、「グリーンは今年の流行色です」と言った。

買うのを止そうかと思った。

この夏、街の至るところでグリーンのサンダルを見ることになる。

わたしのもその一足となる。

なぜお金を払って、ひとと同じようなものを履かなきゃならないの。

 

へそ曲がりの性分でおまけに個性的を善しとする。

つまりは見た目の劣等感を、ちょっとひととは違う格好でごまかそうという姑息な手立てなのだが、それはそれなりに自負の念もある。

 

流行りものは好きではない。

高校生の頃、グループサウンドが全盛だった。ちょっとカッコいいおにいさんたちがエレキギターなんかを手に歌を歌ってた。何がいいのか分からなかった。わたしはR&Bのフィフスディメンションの”デクラレーション”なんかに入れ込んでいた。独立宣言文を歌っているのだ。それも目先を変えて、受けを狙ったものではなく、メロディーも歌唱力も最高で、彼らが黒人であることが歌になお一層、説得力を持たせていた。

本も受賞作やはやりの本は一切、読まなかった。

服も変わったのが好きだった。

と言うような訳でわたしはひとが何と言おうと我が道を行く。

 

負け犬の遠吠えっぽいね。