上善如水 2

近頃、つくづくありがたい人生を生きさせてもらっていると思う。

家族は健康だし、老後のお金は子供に迷惑を掛けていないし、相方もわたしも趣味を楽しんでいる。この小さな幸せが一日でも長く続きますようにと願うが、明日のことは誰にも分からない。

わたしの唯一の長所はひとを羨ましがらないことだ。

わたしは親の反対を押し切って駆け落ちした。親がどんなに心配するか、分かった上で自分の意志を通した。自分の人生をできるだけ自分の思うように生きてきた。もちろん、何もかも自分の思い通りなんかにはならない。できるだけ後悔の少ない人生を と望んだが、どの道を行っても後悔はある。子供にとってもっとよい母親でありたかった とか、相方のもっとかわいい妻でいたかった とか。

でも、わたしはわたしだ。

いいところもあれば悪いところもある。みんな人間は大なり小なり不完全だ。

わたしはわたしのこの小さな世界に満足している。

こんな小さな世界にも雨も降れば風も吹く。

今は平穏だが、何か起こると、たちまちわたしはあたふたしてしまう。

そういう時こそ、水の如く上善を目指したいものだ。