笑顔

今日はN句会で吟行の日だった。

わたしは母が亡くなってから、体調が悪かった。

最近は特に胃の調子が悪くて、おかゆくらいしか食べていない。

歩くのも自信ないし、体調の悪い日は良い句が出来ない。

ゆえに本日のもお世話係さんに前もって不参加と言ってある。

今日は少し買い出しに行くだけでおこもりの日だ。

 

8日の三七日(みなのか)のお参りは午前中に済んで、帰りにおそばを食べてきた。

朝からの実家の掃除がこたえたのか、午後から横になっていた。

晩御飯の支度が面倒で近所の居酒屋さんで済ませた。

生ビール3杯くらい、普段ならなんともないのに、これがずっと胃の中でぐつぐつ言っているので、安定剤も導眠剤も飲み辛く、心療内科でいただいていた胃の酸を抑える薬を飲んで寝たが、朝も治まらない。

 

それからおかゆと雑炊の生活をして来た。

土日月と連休だったので、昨日、内科へ行った。

胃だけの診断が目的なので、心療内科ではなく、内科に決めた。

 

自転車で5分のA医院のA先生はまだ40代かな。わたしがこのマンションに住み出して17年、それから、しばらくして出来た医院だからもう15年くらいは経つだろう。

そのころから患者に笑顔で接する若いけれどいい先生だとの評判だった。

何の病気で行ったのか覚えていないが、とても感じのいい青年で的確な診断をしてくれたのは覚えている。

ただ、患者さんの数がすごくて、長時間、待たされちゃう。

これがネックでそれからあまり行っていなかった。

 

相方が掛かっているW病院は近くて整形外科はいいけど、内科の先生は日変わりで、あまり好きじゃない先生が多かった。

 

よく行くUクリニックは、MRI胃カメラなどの設備が整っていて検査してもらうのはあそこが丁寧で手っ取り早い。でも、バスに15分乗らないといけない。

 

と、色々考えた末、お久しぶりのA病院にした。

夕方は4時半からなので、4時15分に行ってみた。

がらーんとしていて、女性がひとり座って待っていた。

受付に「今、受付していただけますか」と訊くと「はい、13番目ですから、5時半ごろに来ておいて下さい」とのこと。

 

で、一旦家に帰り、サラダの準備だけして、また5時半に行った。

待合には小さな子供から付き添いの方のいるお年寄りまでけっこうな人数だった。

でも、以前と比べれば、予約制のようになっているからスムーズに進んだ。

5時45分くらいに呼ばれて、診察室へ入ると「お久しぶりですね」と例の気持ちのいい笑顔で迎えて下さった。

受付の方に渡されて書き込んだ問診票を読んで「わたしは内科医ですので、内科医としてお手伝いさせていただきます」とおっしゃった。

 

要するに、母が亡くなってから体調がずっとすぐれないのだが、精神的にもつらくて安定剤の服用回数が増え(胃に影響はないと言われてはいたが)、胃の調子が悪い、特に朝、胃がぐつぐつ言っているような感じで不快だ、心療内科でもらった胃酸を抑える薬を飲んでも効かなかった、今は三共胃腸薬を飲んで少しましだ といったことを書いたのだ。

 

「胃は痛みますか?胃液が逆流するような酸っぱいような感じはありますか?食べ物を戻しそうになったことはありませんか?」というような質問をして「そこへ脚をくの字に立てて横になって下さい」とおっしゃった。

「ここが腸でこの辺が沈黙の臓器、肝臓です。で、この辺が胃ですが、女性は縦に長くなっている方が多い。胃と言う臓器はおしゃべりで、いろんな症状から今の状態を教えてくれます」

質問しながら説明して下さり「Yさん(わたしのこと)はいいヒントをくれましたよ。三共胃腸薬は生薬で漢方です。これが効いたのなら漢方がいい。この症状に合いそうなのが3つあります」

それからまたいくつか質問され「六君子湯エキス顆粒をお勧めします」ということになった。

終始、穏やかな笑顔だった。

 

帰り道、まだ薬も飲んでいないのにわたしの胃は治まり、精神的にも安心した状態になっていた。

 

彼は笑顔で人を治す。

町の名医なのかもしれない。