懸想文売(けそうぶみうり)
今週のお題「鬼」
立春の前日が節分で、毎年、鬼が豆で打ち払われる日だ。
今年は2月2日だけど、普通は2月3日だ。
2年前の2月3日の京都での偶会に俳句仲間に誘っていただき、まずは聖護院門へ行った。門前に赤、青、緑の鬼がいた。
お約束の褌に金棒の姿で参拝客を脅していた。一緒に写真に収まる鬼もいた。
ぶっちゃけ着ぐるみで、緑の鬼の足の親指の爪の黄色いフエルトが取れかかっていた。
甘酒が振る舞われ、日差しは暖かく、ゆっくり境内を見て回った。
続いて、斜め向かいの須賀神社へ。
こちらも豆まきをなさったりするけど、何といっても有名なのは懸想文売り。
須賀神社は素戔嗚尊(すさのおのみこと)と櫛稲田比売命(くしなだひめのみこと)のご夫婦の二柱を祀っているので、縁結びのご利益があると言う。
2月2日と3日はこの神社に懸想文売りが2人現れる。
烏帽子(えぼし)を被り、水干(すいかん)を着て、顔を覆面で隠している。
元は没落した貴族たちが字の書けない庶民のラブレターの代筆をして日銭を稼いだことに始まる。だから、顔を隠しているんだ。
現代の懸想文売りは和紙に包まれた手紙(印刷されていて、毎年、宛名と差出人の名前が変わるくらいで、文面は文語調だけどあまり大した内容じゃない)を1500円くらいで売ってた。良縁に恵まれるとか美人になると言う。箪笥にしまっておけば着物が増えるとも。
わたしも1通買って、2月の句会に嘱目(季節の動植物やおもちゃ、パンフレット、写真など、俳句の種になるもの)として持って行ってる。本来は元旦から15日までの京都の風俗行事だったので1月の季語として歳時記に載ってる。
今年こそ各地で豆まきしてコロナの鬼を祓ってほしい。
でも須賀神社はこじんまりした神社だ。
今年の節分はどうなさるんだろう。