尻尾を巻いて

もうすぐ1月が終わる。

俳句の世界では2月から、厳密にいうと立春、今年は2月3日、から春となる。

昨日、先生の所へ5句、投句した。

全て冬の季語を使った。

 

ホントは春の季語の句を1つくらい入れたかったんだけど。

立春大吉」っていう「立春」の季語の傍題。

立春の日に禅家で門口に貼るお札の文句で、いかにも目出度くってよい春となりそうでしょ。

ところが歳時記で調べたら、立春の例句55句中、立春大吉の句は5句のみ。

あとは「立春」や「春立つ」ばかり。

 

何故か。

立春大吉」は8文字だから。

5・7・5に納まらない。

句またがりにするしかない。

歳時記に載っている立春大吉の例句5句のうち、4句は上5に無理くり、ごーんと乗っけて3字余りにしてる。上5はまあ7文字くらいまでなら許容範囲。わたしもよく使う。

でも、さすがに8文字はねぇ。

例句として用いられる句の作者は芭蕉から始まる俳句界の偉い先生方ばかりだ。

だからできるスーパーテクニック。

 

残りの1句は中7を9文字にすると言う大胆不敵さ。

でも、とてもいい句。

 

雨の中に立春大吉の光りあり   高浜虚子

 

立春の日に雨が降ってる。でも、立春大吉、お札というより春となる目出度いその日自体、に光がある。

しっとりとした落ち着いた、でも春がきた暖かさ、喜びを感じさせるような句だ。

さすが、虚子だ。

 

という訳で、わたしは尻尾を巻いて逃げました。