筋を通す
今週のお題の「お父さん」はもちろん、明日が父の日だからだろうが、わたし個人としてもタイムリーだった。
何故かここんところ、父を思い出すことが多い。
父は大正生まれで、2003年に亡くなった。享年79歳。
頭はよかったが、頑固で男尊女卑で人付き合いが下手で、でも1本、筋が通っていた。
わたしは子供の時に父に可愛がってもらった記憶がない。
しかし、3つ年下の弟のことは舐めるように可愛がり、甘やかした。
こう言うと、「そんなはずはない、男親は娘が可愛いはずだ」と皆さん、おっしゃる。
相方もそうだった。でも、わたしの実家に行くようになって、「なるほど、確かに甘やかしすぎだな」と言った。物を買ってやり、就職まで知り合いに頭を下げて頼んでやり、弟の機嫌ばかり気にしていた。わたしは父にぶたれたことがあるが、弟はもちろん、ない。
ただ、相方と駆け落ち結婚してから、2人でわたしの実家に何度も頭を下げに行った後、先に許してくれたのは父だった。母は最後まで実家に戻ってきなさい と言っていた。父はこのままでは、わたしが可哀相だから と言ったらしい。叔母から聞いた。
そして、内輪だけでの披露宴をしてくれたのも父だった。
初めてわたしの実家へ血のつながっていない娘を連れて行った時、彼女を膝に乗せ、「歌をうたってごらん」と父が言うと、小3の娘は何か演歌か歌謡曲を歌った。
父は面白がって、以来、実の孫のように可愛がってくれた。
この娘の結婚式にも祖父として参列してくれた。
それから3か月後に父は亡くなった。
納得して、こうと決めたら、きっちり筋を通す男だった。
パパ、わたしも筋の通った生き方をしてみせるよ。