海老鯛

先月、下の娘のお義母さんの三回忌の際、参加はしなかったが気持ちばかりのお供えをさせていただいた。すると、お義父さんは大きな紙袋一杯の箱入りの菓子や塩昆布の詰め合わせなどを持ってきて下さった。百貨店の商品券まで入っていた。

お供えをしたことを後悔した。今後、あちらの法事には何もしないことにしようと相方と決めた。

 

この時にいただいた箱入りのお菓子やお下がりのお菓子であるが、丁度、相方の血糖値が高いことが分かって、甘いものも控えようとしていた時だった。

で、マンションの仲のよい方々に貰っていただいた。

西隣のIさんちに菓子箱を持って行ったら、奥さんはお留守でご主人が出て来られた。

「これ、法事のお下がりでいただいたんですけど、うちのが糖尿なので、食べられないんです。助けると思って、もらっていただけませんか」

気のいいご主人はいつもの優しい笑顔で「はいはい、じゃあいただきます」と受け取って下さった。

 

それから10日ばかりして、うちの玄関のチャイムが鳴った。出てみるとお隣のIさんの奥さんだった。「徳島へ帰っていましたので」と結構なサイズの箱を差し出された。見るとスダチだった。「えっ、こんなに頂けません。2人っきりですし」と言ったが「ジュースにしてもジャムにしてもおいしいんですよ」と、結局いただくことになった。大きさも色もみごとで近くのスーパーで一個50円してた。また、よそのお宅におすそ分けして、三分の一ほどはうちで酢の物や焼酎ソーダ割に入れて楽しく使った。

 

上高地でちょっとお洒落なお菓子を見つけた。すぐお隣の奥さんのきれいな顔がうかんだ。帰阪した翌日にお隣へ行き、奥さんに「これでおしまいにしてね」と手渡した。彼女はにっこり笑って「はい、わかりました」

 

海老で鯛なんか釣るもんじゃない。