上高地

朝から沢山の洗濯物と使ったお金の計算などして旅の後かたずけはおおむね終了した。

これから、写真を眺めて旅を反芻して楽しむのだ。

 

わたしが子供のころから馴染んできた六甲山は丸い穏やかな印象の山だ。

今、住んでいる大阪のマンションから見える山々は、奈良との境の生駒山信貴山二上山葛城山金剛山、和歌山との間にある紀北山地などだ。金剛山などはかなり険しい山らしいが、遠すぎてはっきりとは見えない。

今回の旅行で見た日本アルプスと呼ばれる上高地の山々は厳しく人を寄せ付けない。山そのものも鋭く尖り、山肌には大きな深い傷のような跡がそこここにある。大きな大きな岩の山たちだ。

だが、その足元を流れる梓川の美しいこと。あの水の色を高村光太郎はセルリアン(ブルー)と表現したが、わたしには色より透明感のほうが強く感じられた。あの透明感のためにあの色とならざるを得なかった、そう思えた。

そして、あの山々の険しさがあの水を透明にしたんだろう。

 

人間の一人一人に違う個性があるように、山や川にもそれぞれ個性があることを今回の旅で知った。今までの旅行でも多くの山や川を見てきたはずなのに、こんなにも感銘を受けたことはない。それだけ上高地が特別なのか、わたしの感性がますます磨かれてきているのか、その両方なのか。

 

逢うべくして逢った両者だと思いたい。