ポニーテールの金太郎

さっき歯医者さんから帰って、お昼を食べたところ。

この十年ほど、毎月一度、歯のお掃除に通っている。歯茎が弱ってきて、左下の奥歯がぐらついているのだ。歯科衛生士さんが毎月お掃除をしてチェックしてくれる。

一番初めに行った時は、4本あった親知らずが他の歯に悪い影響を与えていたので、抜いてもらうことになった。優しい物言いの若い男の先生だったが、強い力でまず左下の親知らずを抜いてくれた。後2日間、痛み止めを飲んでも痛んだ。抜いた歯が「まだ、生きてたんだぞ!」と叫んでいるみたいだった。

その痛みが治まったころ、2本目の右下を抜いた。

それから、しばらく時間をおきましょうと言っているうちに、その男の先生は独立なさっていなくなった。

で、交替でわたしの親知らずを見て下さったのが、ポニーテールのお化粧っ気のない、頬の赤い女性だった。先生は、失礼だがずんぐりした筋肉質の、要するにわたしに似た体形だった。でも、てきぱきとして、わたしの質問にも分りやすく丁寧に答えて下さった。そして親知らずもてきぱきと力強く抜いて下さった。

まるでポニーテールの金太郎さんだ。

 

しかし、癌の子供たちのカツラを作るためのボランティアで、春に髪を切られた。

今日、「先生、髪、伸びましたね」と言うと「髪の毛、すぐ伸びるんです」と笑ってらした。

冬にはまたポニーテールの金太郎さんが見られそうだ。