プロポーズ

先日、またテレビドラマを見ているとプロポーズのシーンがあった。

「絶対、幸せにします。結婚して下さい。」

ベタなのか、かえって新鮮なのか、意外と少数派なのか、わたしには判断がつかない。

でも、もし言われたら、わたしならきっと、つっこむな。わたしたち人間に「絶対」わかっていることは全員、死ぬことだけ。それにわたしの幸せとあなたの幸せは同じじゃないと思うし。

でもハート型の目をした二人には、そんなひねくれた考えはこれっぽっちも浮かばないだろう。

 

ちょっと待ってよ。わたし、プロポーズされたっけ?

相方に聞いたら、した覚えはないと言う。

子連れ狼だった相方と付き合いだして1年近くしてから、やっぱりわたしに小学校2年生のお母さんになるのは無理だと結論を出し、長い手紙を書き、きっぱり別れた。ところが、わたしの直属の上司が相方を気に入っていて、「君はいいだろ。自分で自分の結論出して、手紙、送りつけて。でも相手はどうだ。一度顔を見て、きちんと話して来い」と言われた。

で、のこのこ出かけて行って、顔を見たらやっぱりこの人だって思っちゃった。

それまではその状況から逃げ出すことばかり考えていた。でも、それからは何とか結婚して、2人、いや3人で生きていくことを考え始めた。

しかし親や親せきの反対は強かった。わたしだって両親が反対するのはあたりまえで、わたしのことを心配しているからだと理解はしていた。でも、その反対のせいで彼ときちんと結婚するには、駆け落ちしか他に選択肢がなくなってしまった。

だから、37年前の節分の日の朝、いつも通り会社に行く時間に家を出て、彼と会い入籍して、夕方、伊丹から母に海外旅行に行くとだけ電話して、親への手紙を投函し、ハワイへ行って、二人だけの結婚式をした。

帰国してから、毎日のように実家へ頭を下げに行った。それから、色々なことがあり、最終的には、両親と両方の親戚だけの小さな祝いの席を設け、ようやく一段落した。

 

というように、大変な思いをして結婚したが、相方はプロポーズしてなかったんだ。

くっそー!!