新人監督

相方は今年からとあるソフトボールチームの監督になった、というか、された。

ハイシニアのチームで65才以上でないと入れない。平均年齢73,4才。相方は若手(70だよ)で無口なので「いらん事」を言わないから前監督(80才)に認められ、新監督となった。男性でも口数が多く「いらん事」を言ってもめ事を起こす人が結構いるのだ。

で、新監督となった相方がまずしたことは、ラジオ体操を練習前に全員ですることだった。何といってもみなさん、歳が歳なんだから少し体を動かしてからボールを触ったほうがいいもんね。

次がグラウンドの草ぬき。毎年、夏になると外野の草の丈も量も半端じゃない。相方は前監督が電動草刈機を使って刈っていたのを手伝っていた。だから、冬のうちから、来た人は対戦チームの人たちも、1人20本ずつ草を抜くように決めた。これが功を奏した。夏になっても外野手はボールを取りやすくなった。電動草刈機もすぐに刈り終れるようになった。

この夏の初めに、彼は影のないグラウンドにブルーシートと支柱などで即席の屋根を作った。毎回、取り外しては倉庫にしまい、また作りで直射日光を少しでも防ごうとしている。

今もノートに何か書き込んでいる。スコアブックは係の人が付けているが、彼は自分の覚え書きとしてスコアと出欠表をつけているらしい。出場回数に出欠回数をある程度リンクするよう気を配っている。

一番、彼が気を使っているのは前監督のこと。Mさんはみんなから信頼されていたが、お歳のせいか気が短くて、「あんな奴、ほっとけ」「もう帰れ」と怒鳴ることもよくあったらしい。相方に監督の座を譲ってからも毎回、様子を見に来られている。相方は自分の椅子の横に、Mさん用の椅子を置いた。Mさんは決して自分から口を挟んだりはしないが、時々相方の方から「これでいいですか」と確認をとるらしい。その時もMさんは「うん」とうなずくだけ。

男だねぇ。カッコいい。

相方よ。君も次の監督と代わった時はMさんみたいに新しい人の判断に任せて自由にさせてあげてね。まだまだ新人監督だけど。