祖母と衣被(きぬかつぎ)

さっきN教室から戻ったとこ。

今日は先生の講義と3句出しの句会の日。

講義は裏側を詠む話と無意識な動きを詠む話。

 

路地裏の句や裏木戸の句、目隠ししても目をつむっちゃう句など面白いお話が沢山。

わたしもこういう方向からの句を書いてみよう。

 

その後3句出しの句会。

結果から言えば並選2ついただいた。

 

手土産の浪花正宗今年酒

てみやげの なにわまさむね ことしざけ

「今年酒」が晩秋の季語で、秋に採れた新米で作ったお酒のこと。

季語じゃない兼題が「大阪」や「難波」とかの地名だったので「浪花酒造」の美味しいお酒にした。ちょっと時期は早すぎたけど、俳句は季節を先取りする方がよいとされる。

四度目のワクチン接種秋黴雨

よんどめの わくちんせっしゅ あきついり

「秋黴雨」は秋の季語「秋の雨」の傍題で、小雨が降り続いて物寂しい感じ。

相方とワクチンを接種した日のことを詠んだ。

 

この2句が選に入った。

でも、今日のわたしの目玉商品は選に漏れた1句。

 

人生をつるりと終へて衣被

じんせいを つるりとおえて きぬかつぎ

「衣被」が初秋の季語で皮の付いたまま茹でた子芋のこと。指で押し出せて、とろりと柔らかく旨い。

この句は50年ほど前に亡くなったわたしの祖母のことを詠んだもの。

祖母は子供のころから結核で、18まで生きられないだろうと言われてたらしい。それでも、一人娘だったので婿(つまり祖父)を取り、男子2人(次男がわたしの父)女子1人を儲けた。

140センチあるかどうかの小柄な人で、白髪をひっつめにし、着物を着、気骨ある明治の女だった。

ただ、口が悪くて、小学生のわたしが健康優良児に選ばれた時も「大女、総身に知恵の回りかね」という感想を述べた。わたしは子供心ながらも「変わったおばあちゃんだなあ」と思った。

自分自身のことも馬鹿にし悪く言っていたから、まあ、フェアーちゃあフェアーな人ではあったが。

結局、70まで生きて、ちょっと頭の巡りが悪くなったかなと思う程度で、寝込むこともなく、ある朝、布団の中で亡くなっていた。

上手に死んだものだ。

 

この句を先生は面白い句だと言って下さった。

では、なぜ選に漏れたか。

「終えて」と現在形にしたのがだめだとおっしゃった。

わたしがかい摘んで祖母の話をすると「亡くなってるのなら『終へし』としっかり過去形にしなさい」って。

 

なるほど、祖母と衣被という題材に関心が行き過ぎて、詰めが甘かった。

 

勉強になりました。