鳥の巣

今週のお題「雨の日の過ごし方」

仲夏の雨の季語には「梅雨」と「五月雨(さみだれ)」のふたつがあり、微妙に違う。

「梅雨」はおおむね新暦6月10日前後から約1か月間、雨の降り続く期間をいう。

「五月雨」は旧暦5月ごろに降る長雨のこと。

つまり「梅雨」は雨そのものと気候の両方をさすのに対し、「五月雨」は雨のみをさす。

 

365日、いつもアンテナだけは立てて俳句を作ろうとするのだが、さすがに雨の続く中、傘をさしてミニ吟行に行くには気力が足りなかった。

 

うちのマンションには狭い中庭というか裏庭というか、がある。

北側のエレベーターホールから眺められて、ガラスのドアを開けて出ることもできる。

5メートル×10メートル程の小さなものだが、専属の造園業者が毎月手入れをしてくれていて、四季折々の花、海棠や山茶花など木に咲くのも、オレンジ色のあやめやアガパンサスなどの草花も見ることが出来る。

 

先日、俳句に行き詰って、傘をさしてその庭をゆっくり散策してみた。

わたしの右手斜め上から何かの鳥が木の陰に入り込んだ。

途端に雛らしい幼い声が聞こえた。

親らしいの鳥の、雀みたいな茶色いしっぽが見えた。でも雀より少し大きいかしら。

親鳥が木の後ろ側からどこかへ消えた後、巣に近づいてみた。

子供のお茶碗位の大きさで薄茶色の巣が見えた。

一応、天然素材っぽいもので出来ていた。

なんとなく、ほっとした。ポリやプラスチックだったらと心配だったから。

親のいない時は雛たち、静かにしてるんだ。

分かってるんだね。

彼らを驚かさないようにそっとその場を離れた。

 

それから3,4日して、また覗きにいった。

巣にはだれも残っていなかった。

巣立っていったんだ。

 

実はわたし、野生の鳥の巣を見たの、生まれて初めて。

いいものを見せてもらったよ。