たかがソバージュ、されどソバージュ
お題「#買って良かった2020」
昨日、HONUへ行って、仲田君に髪の毛、綺麗にしてもらった。
カラーはもちろん、パーマも当て直した。
その前にカット。
これが問題。
四半世紀ほど前、つまりバブル期に流行ったソバージュというカーリーなヘアースタイルがある。
わたしが当時行っていた少し遠くの美容室は、わたしより年嵩の先生と呼ばれる女性がたくさんの若手を育てながらご自分も現役で美容師をなさってた。
その人に勧められてソバージュをした。
そのうち右向いても左向いても日本中、ソバージュだらけになった。
でも先生は相も変わらずソバージュを勧めていた。
わたしは人と同じというのが嫌いだ。
近くに新しく出来た美容室に行ってみた。
目元にちょっと危ない色の残っている、でもカッコいい男の子が担当になった。それでも店長か何かの立場だったな。
彼はわたしの言うことをよーく聞いていて「分かりました。ではちょっと違う風にしてみましょう」と言って、チャッチャッチャッ と鋏を動かし、何種類かのロッドを巻いてパーマを当ててくれた。
はい、と出来上がったのが、ソバージュみたいでソバージュじゃない、新しい髪形だった。一番違うのはソバージュはロッドを横向けに巻くんだけど、彼は縦に巻いたと言う。カットも縦にいくらか髪をそいでいた。
若い人の感覚っていいな と思った。口下手だけど技術は間違いない。
それが仲田君だった。
それからずっと彼にしてもらっている。独立して電車乗り継いで行かないといけなくなっても、わたしの髪を任せられるのは彼だけだ。
今でもまあショートだけど、ソバージュっちゃあソバージュなんだ。
何故か?わたしがブローが超下手で、めんどくさがり屋だからだ。
ソバージュはさっと梳かして水を吹きかけて、液体トリートメントやヘアムースを使ってくちゃっくちゃっ と手で握り込んで形をまとめるだけ。超簡単。
でも、これまで微妙に変わって来てるんだよ。後頭部は短めで、下の方はストレートで首に沿っているし、顔の左右は長めでウエーブは少し緩め。
前回行った時に「飽きちゃったよ。何かちょっと変えてくれない?」と言うと「じゃあ次回は、左右非対称にしてみましょう」って言ってた。
わたしの髪は右側で自然に分かれる。だから正面から見れば、自然と右側のボリュームが左側より小さくなる。それを敢えてもっと右を短くして、左右のバランスを崩してみようと言ったのだ。
昨日、わたしはワクワクして行ったんだ。彼がどんな仕事をしてくれるか。
そして、結果、予想以上の働きをしてくれた。
面白い。
彼はずっとわたしの髪してきてくれてるので、髪の生える方向、つむじの曲がり方、全部わたし自身より良く知ってる。
わたしの顔の右側の髪を耳に何とか掛かる程度まで切り、左側は今まで通り肩に届くか届かないかくらいに切って、緩い縦カールにした髪を右側からドライヤーでつむじに沿って左側へ向けて流す。
「右耳だけちょっと長めのイヤリングなんかすると、今度はそれでバランスがまた変わって面白いですよ」
どうよ!
45才。脂の乗り切った美容師だよ。
人としても、男としても、厚みが出たよ。
決して安くはないけど、わたしは彼の腕に喜んでお金を払うよ。
今回の彼の作品は過去最高だった。