雀のしっぽの金太郎
午前中に歯医者さんへ行った。月1回の歯のお掃除だ。
わたしの主治医の先生は例のポニーテールの金太郎さんだが、歯のお掃除は歯科衛生士さんが器械や歯ブラシでしてくれる。
先生とはあまり、お話する機会がない。
でも今日は、たまたまわたしが会計をしている時に先生が出ていらした。
そしてこう言われた。
「あ、なら みち ちゃん。私も好きなんですよ」
紺のジャケットの襟に例の奈良美智くんの缶バッジを付けていたのだ。
「先生、よしとも君ですよ。男性です」
とか言ってると、会計の女性も「あら、かわいい」と会話に入ってきた。
「ずいぶん前に買ったんですけど、可愛すぎて付けられなかった。でも、年取って逆さまに、もういいかなと思いまして」
「よくお似合いですよ」
とかいう話から、コロナの話になり、歯科衛生士さんたちはママさんが多くて、学校の休みで子供を預ける所がなくて困っている話になった。
「歯の痛い人のために私はできるだけここを開けてほしいんですけど、ママさんたちが大変で。まあ、私は子供がいなくて身軽なんですけど」と先生。
一度、ポニーテールが出来るほどまで伸ばし、それを病気でかつらの必要な子供たちのためにバッサリ切って送り、またポニーテール、これを繰り返しておられる。あの歯科クリニックへ行くようになってもう10年以上になる。彼女は4人いる歯科医の1人だ。
今の彼女の髪はゴムで一つにまとめてはいるが、雀のしっぽ程度の長さだ。
でも相変わらず満面の笑顔で、見ているだけでこちらまで元気をもらえる。
来月、髪はまだそんなには伸びていないでしょうが、お顔拝見できるといいな。
先生、お元気で。